妄想
どうも!俺はワカメ!わりと普通の男子そんな感じ!
この雛見沢に引っ越してきたばかり!これから新しい学校生活にむけてがんばるぞ!
と言うわけなのだが、俺は転校初日から遅刻してしまった…。こりゃ急がないと!
「うわっ!」「あぅっ!」
「コラ!ちゃんと前向いて走れよ!」
「あぅ〜。ごめんなさいです。でも僕は急いでいるのです…」
「おい!ちょっと待てよ!…ったく
ん?これは鞄?あのボクっ娘、落としていったな…」
「今日は転校生を紹介します。ワカメ君、入ってください。」
「えーっと、海藻ワカメと…ってお前は朝のボクっ娘!」
「あーっ!そういうワカメは朝のぶつかって来た人じゃないのですか!」
「なんだよワカメって!なれなれしいな!」
「いちいちうるさいのです。海藻ワカメだからワカメで。そんな怒らなくていいじゃないのですかー。」
「あらあら、二人とも知り合い?ちょうど席もあいてるし、ワカメ君は羽入さんの隣にしましょう」
「知り合いじゃありません!そんなことしないでください!」
「あぅ。よろしくなのです〜☆ ワ・カ・メ」
なんだよもう!こんな学校来なきゃよかったぜ!
って、そんな訳なかろうて。
20世紀姉妹
こんばんわ、わかめ!です。
ワカメ氏が物語を載せるもんだから、ちと対抗心が芽生えて、じゃあ僕も〜w
「20世紀姉妹」
セミが鳴く、とある暑い日の夏
残念な出来事がテレビニュースで報道されていた
高校生「田中友(たなかゆう)」遺書と共に遺体で発見、自殺
と報道されていた
そのテレビ映像で姉の田中唯(たなかゆい)が涙を流しながらこう言った
「辛かったんだね、辛かったんだね・・・」
両親が離婚して姉妹は離れ離れに生活をしていた
妹の友は父の元、姉の唯は母の元で暮らしていた
母はとても優しい人格の持ち主であった
父はその逆であった
妹の友は毎日、酒に酔って荒れた父から虐待を受けていた
その虐待に耐え切れなくなっての自殺
遺書にも「辛かった・・・」と書かれていた
父は友を虐待して死に追いやったとして死刑判決が下った
今日がその死刑の日であった
この事件は翌日の新聞でも報道されたが、それ以上語られることは無かった
一般の高校生「田中友」の自殺、として世間の人は受け止めていた
時をさかのぼって、友の自殺までの話を公開する
そして、事件の真相を知ることになる
田中姉妹は双子で同じ日に生まれた
この姉妹は、顔もとても似ていて親でも区別が出来なかった。筆跡、髪質、持病、声質、どの点においても、誤差が無かった。まるでクローン人間のようであった。
姉は唯と名づけられ、妹は友と名づけられた
わずかながらの誤差で生まれたのにも関わらず、姉妹関係は、はっきりしていた
妹の友はしっかり、姉の言うことを聞いた
同じ幼稚園に通い、同じ小学校に通い、常に一緒に居た
近所からも仲の良い姉妹として評判が良かった
しかし、とある事件が起きた
姉妹が中学1年生に時、両親が離婚をした
妹の友は父に、姉の唯は母に引き取られた
仲の良い姉妹は離れ離れになってしまった
母と一緒に家を出た唯は今の中学に通うことが出来なくなったので、隣町の中学に転校した
姉の唯は転校先の中学でも、たくさん友達を作り充実した生活を送っていた
妹の友は逆だった
父は仕事を辞め、毎日酒に荒れ狂う人生を送っていた
そして、日々のストレスが友に向かっていた
友は毎日、父からの虐待を受け続けた
こんな状況であったため学校に通うことが出来なくなり、不登校になった
たとえ学校に行ったとしても、顔にできたあざなどが理由でいじめにあった
友の人生がだんだん荒れていった
しかし、姉妹の絆が完全に切れた訳ではなかった
姉妹は携帯のメールを通じて、互いの状況を報告しあった
姉の唯は始めは、妹を気遣うメールを送っていたのだが、時が経つにつれて変わっていった
「私、彼氏ができたよ〜」「高校生活ってすごく楽しいよ〜」「部活でレギュラーに選ばれちゃった。うれしい。」「今日、美香ちゃんと、映画見に行ったよ〜」
気遣うメールがいつの日からか、自慢に変わっていた。
当然、友は高校にも進学することも出来なかった、友達も居なかった
そして、父は働かないことでお金に困り、闇金に手を出してしまった。
闇金に追われる毎日が続き、父からの虐待もさらにひどくなった。
そんな友は唯のメールに対してうらやましさを感じていた。
そんな生活が高校2年生まで続いた。
高校2年生のある日
もう、高校は夏休みに入っていた
唯は毎日友達と遊んだり、海水浴に行ったりした。生活のほうも母の頑張りのおかげで安定した生活を送っていた。
友はもう限界まで来ていた。
そんなある日、唯のメールに一件のメールが入った。
「お姉ちゃん。久しぶりに会いたいな〜。A町の神社で待ってるね。絶対来てね。」
そして、姉の唯は神社に向かった。
久しぶりの姉妹の再会。
二人は昔に帰ったようにずっと話し続けた。
時間はもう午後7時を回っていた。
姉の唯は言った「そろそろ、帰らなきゃ。友達や彼氏とメールしたりしないと。」
もはや、妹はそっちのけであった。大切なのは友達、学校、彼氏だった。
姉は神社の階段を降りようとした。
どん
何者かに背中を押された。
唯は階段から転げ落ちて神社の鳥居に頭をぶつけた。
おびただしい量の血が流れる。
「い、痛い。気が遠のいていく、死ぬの?」気が遠のいていく。
唯の目の前に人影が現れた。
「誰・・?」
友だった。悪魔のように恐ろしく、冷たい目つきで唯を見下ろしていた。
「友?助けて・・お願い。」
「私はいつもお姉ちゃんのために尽くしてきた。なのに私は報われず、毎日父から虐待を受け続けた。高校にも行きたかった。友達も欲しかった。なのに、お姉ちゃんは、楽しそうだね。私は、田中唯として生きて行くことにしたよ。お姉ちゃんは田中友として死ぬの。」
そう言うと友は、私のそばに紙を落としていった。
「辛かった・・・ 田中友」
と書かれていた。
そして、友は私の元を去って行った。
姉の唯はそのまま、息を引き取った。
翌日
発見された遺体と遺書による判断により、医療機関に回されず
田中友の自殺、として死亡者登録された。
そして、父には虐待により自殺に追いやったとして死刑判決が下った。
死刑当日
セミが鳴く、ある暑い日の夏
死刑執行12時45分を過ぎたのを友が確認して、悪魔の表情でこう言った。
「計画完了」
そして、その日は田中友の自殺のニュースが報道されていた。
インタビューに「辛かったんだね、辛かったんだね・・・」と顔を隠しながら答える友の顔はにやけていた。
そう、実際に死んだのは姉の唯であり、友は行き続けていた。
これが事件の真相である。
完